第11話

「オツカレサマですー、三課の六神むがみですけどー。」


「はいはい、はいなんでしょう?」


「その声は実来みらいさんでまちがいないでしょうかー?」


「1586の内線番号にかけてきてるなら間違いないですね、3482さん。」


「そんな刑務所みたく、4ケタの数字で人を認識してるとか実来さんの人格を疑いますー。」


「そうですか。ですが今後私が電話に出た時は、3秒で要件を話してもらえるとありがたいですね。」


「3秒も時間を埋めるのに、どれだけこっちはネタを用意しなきゃならないと思ってるんですか。あ、3秒経ったんで要件話しますね?」 




その後、要件をほんの30秒で終わらせた六神千都世からの内線電話を切って、はあと息をつく。 



足元のゴミ箱にいる、あんバターブリオッシュのごみを眺めれば、お昼全然足らなかったな、と今になって空腹を感じ始めた。





「とても付き合って別れた二人とは思えないよね?あんたたち。笑」



前の席に座る、同期の福間真優ふくままゆうこと、まゆゆがデスクトップの横から顔を出した。



後ろできっちり結ばれたポニーテールが揺れて、ププッと笑いながら、私のデスクへと顔だけで乗り込む。



「私ですら信じられないよ。なんでこんな普通に接してんのか」


「昔から悪友みたいなもんだったんだっけ?」


「いや?学生時代はむしろ赤の他人寄りだったわ」


「はあ?付き合って別れたら仲良くなりましたーっ?て??」 


「そう、前より言いたい放題の仲になりましたーって。」

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