星夜の魔女と普通の魔法使い

ワッフルEX

第1話 いつも通りの日々

お昼休みが終わり、午後の授業の始まりを告げる鐘が鳴る

俺はいつも通りの窓際の一番後ろの席に座り、授業に使っているタブレットをカバンから引っ張り出す


周りの生徒も急いで各々の席へと戻っていく。ついさっきまで話していた、俺の前と斜め前の席の友達も授業の準備を始めている


先生はまだやってこない。とくにやることも思いつかないので、タブレットで適当なページを開いて眺める。もちろん、読んでいる訳ではない


暖かい日差しに誘われて、次第に眠くなっていく


五限の科目は「魔術歴史」 かなり、つまらない内容だ。正直、この時間にこの科目を入れてきた学校側には文句がある。 教員たちも分かっているだろ、眠くなるって


しかし、成績のためにもここで眠るわけにはいかない


目を擦り、電子黒板の方へと向き直す。前の方の扉が開き、青色の髪をなびかせなあら、凛とした顔の女性が入ってきた。彼女は魔術歴史科の教諭である「クルビル先生」だ


クルビル先生は、見た目は若々しい新任の先生だが、勤めてる年数は校内でもトップクラスに長く。人間ではないと本人が明言しており、精霊か、吸血鬼か、幽霊か、はたまた神族かもと、生徒内では昔から考察が続いているらしい


ちなみに俺はまったく興味がない。他人の出生をしって、なんになるのだが


◇◇◇◇


五限と帰りのホームルームも終えて、周りの生徒たちは放課後モードへとシフト。部活、駄弁り、そして帰宅。各々、動き始めた


「んー」


俺は怪奇現象にあったのかもしれない。なぜか、机に突っ伏しており、五限の記憶が無いのだ。不思議だなぁ


そう、怪奇現象に違いない。寝落ちなどしていないはずだ、うん


すると、前に座る黄緑女が話しかけてきた


「あ、起きた?」


彼女は「ラルラ」 中等部からの友達。しょうもない絡みをしてくる、子供っぽい奴だが、そりが合うのか長く友達が続いている


「オキタ? なんのこと?」


「いや、ぐっすりだったよー? ねぇ」


そういって、黄緑女は隣に座っている金髪リア充男に同意を求めた


「ん? ああ、確かに気持ちよさそうに寝ていたな。すごく絵になっていたよ」


彼は「ネライ」 この魔法学園に入学してから初めてできた友達だ。1年の時はラルラとは別のクラスだったので、去年のクラスでは隣の席だったため、ネライとは話すことが多く、仲良くなった


ちなみに、彼女持ちだ。そう、彼女持ちだ。俺もラルラも独り身なのに、コイツだけ、彼女持ちだ


「完全に寝落ちだったね」


「知らん、聞かん、考えん。はい、この話終了。さっさと部活に行くぞ」


「はいはい。わかりましたよっと」


そう言いながら、ネライは鞄を持ち上げる。それに、つられて、俺とラルラも鞄を持ち教室を出た


移動中、ずっとラルラが「寝てたよね? 寝てたよね~?」と言ってきたが、意地でも認めてやらなかった



◇◇◇◇


うちの学園は部活が盛んな学校で、毎年どこかしらの部活が全国1位の栄光を得ている


そう言うこともあり、うちの学園も部活には力を入れている


その代表的なものが、本校から少し離れた場所に建てられている塔


部活塔…元々は普通の体育館だったが、部活に必要な施設を重ねていき、今では30階を越える我が校のランドマークとなっている


1階部分には受付と各階に繋がるエレベーター、大量の自動販売機エリアに売店、整骨院や疑似温泉、そして保健室など、部活に本気で取り組むための設備が揃っているのだ


俺らは受付で学生証を見せて、エレベーターホールへと移動する


部活塔のエレベーターは3種類に別れている

1階~10階までのエレベーター

11階~20階までのエレベーター

21階~30階までのエレベーター


俺ら仲良し3人組は、それぞれ別の部活に所属している。そして、3人とも別のエレベーターの階の部活なので、いつもここでお別れだ


「それじゃあ、2人も部活頑張ってねぇ!」


そう言って、ラルラが1足先にエレベーターに乗って部活へと向かっていった


その後、ネライのエレベーターの方が先に到着し、彼のことも見送ってから、やっとやってきたエレベーターに乗り込んだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る