1.話題のニュース
「今の人間界、大変なことになってるね〜」
ある日、ツインテールの中学生くらいの少女____ユウは、家でソファーに座ってテレビを見ていた。テレビの画面には、ニュースキャスターが映っている
「人間は何も悪くないと思うけどな〜」
隣に座っていた、同じく中学生くらいでユウと仲の良い、柔らかい雰囲気の少年____レイがそう言う。
2人が住んでいるここは、まだ霊になりきれてない、人間と霊の狭間の者が暮らす場所、“
2人が見ていたのは、最近話題になっている、一部の霊界の者が人間界の者を襲っているというニュースだ。霊界の者が持っている呪いの能力によって、多くの人間が犠牲になっているらしい。
「最近、半霊界の住民が急激に増えているっていうニュースあったよね?それってこれのせいかな?」
「多分そうだと思う。最近、すれ違う人みんな怯えた顔してるし」
「そういえばそうだよね!レイも思ってたんだね!」
ユウは最近、外を歩くとよく初めてみる人とすれ違っていた。そして、その人たちはだいたい怯えたような顔で周りをキョロキョロと見回している。
「もしかしたらその人たちが霊界の人に襲われちゃった人なのかもしれないね!」
「そうだね、その可能性は十分にありえる」
そう言ってレイは、テレビから目を離す。すると、「あっ」と何かを思い出したような顔をして時計をチラッと見る。そして立ち上がり、バッグを持って玄関の方へ行った
「あれ?レイ、どこか行くの?」
「ごめん、僕これから用事があるんだ。またね!」
「そうなんだ!わかった!またねー!!」
お互い手を振ると、レイは家から出て行く。ガチャッと扉が閉まる音がして、レイの姿が見えなくなると、ユウはテレビに視線を戻した。すると、ちょうどニュースの話題は変わり、半霊界で新しく飲食店ができたというニュースになった。ユウは、そのお店が映った画面を見つめながらソファーに足を乗せ、膝を抱えるとため息をついた
「なんで人間を襲うのかなあ…?」
そう呟くと、お皿に残っている2枚のクッキーを口の中に放り込む。そして、テレビを消して、2つのコップとクッキーがあったお皿を片付けた
次の日、ユウとレイはいつも集まっている、近くの大きな公園のベンチに座って話していた。その前では、小さな子供たちがいろんな遊具で元気に遊んでいる
「あの子たち、いつも楽しそうに遊んでいるよね〜!」
ユウは、遊んでいる小さな子供たちを見て、笑顔を浮かべながら言う
「そうだね」
「あまり人間界と変わらないよね!」
「うん。でも、小さいころはあんな風に遊んだんだろーなって思うと懐かしいね」
「うん!懐かしい!」
そう言って2人は笑顔で顔を見合わせ、ふふっと笑う。
そして、また子供たちに視線を戻すと、ふとユウはレイにたずねた
「ねぇ、レイは霊界の子供たちもあんな風に遊ぶと思う?」
「どうなんだろ…遊ぶんじゃない?」
「さすがに子供だから遊ぶか〜!でも私、霊界にはこういう公園はないと思うんだよね!」
すると、レイは「確かにそうかも」と、共感したように言う
「あったとしても、遊具がボロボロで辺りが薄暗いイメージがある」
「私もそういうイメージ!実際どうなのかな〜?」
「ねー、案外そういうこともないのかな?」
そう考えながら、レイはまじまじと子供たちを見つめる。そしてふと呟いた
「あの子たちはたぶんこういうことも考えず遊んでいるんだろうな〜」
「羨ましいよね」
「うん…悩みとかなさそうだな〜…」
それを聞いてユウは、レイを見る
(悩み…か…)
すると昨日見たニュースを思い出した。
「そうだ!!」
ユウは突然声を上げ、立ち上がった。それに驚いたレイは、少し目を大きく開いてユウを見た
「どうしたの?」
「ふふ〜、いいこと考えちゃった〜!レイ!今から私の家行くよ!!」
「えっ?なんで?急にどうしたの…?!」
「いいから!早く行くよー!」
戸惑うレイに構わず、ユウはレイの手を引いて公園から出ていった
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