第2話

ぱちっと大きく開いた目は、人懐っこい柴犬みたい。



軽く放たれた告白の言葉は、彼の形の良い唇から響いた。



甲斐 忍(カイ シノブ)



左耳の青いピアスは、『初めての女(ヒト)』から貰ったものらしく、今まで外したことがないと噂で聞いた。



チャラそう。



私が初めてこの人を見た時に感じた印象は、同じクラスになってさらに強くなった。



「なぁ、ダメか?」



柴犬がおあずけを食らっている時みたいな目で私を見る。



いっそ、ばらしてしまおうか?


『私は全部知ってるのよ』って。



そうしたら、この人はどんな顔をするんだろう?



驚く?



『なんだ、バレてるんだ』って開き直る?



私はこんな冗談に付き合っている暇なんかない。

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