prologue

第1話

「なぁ……付き合うとかしない?オレら」






夕日が入り込み、机や壁がオレンジ色に染まる放課後の図書室。


普段手に取ることもない哲学書をパラパラ捲りながら目の前の男子が言った言葉。



俯いた顔から見えた鼻先が、赤く見えたのは、きっと夕日のせいであってこの人が、照れたとかそういうことではないんだ。


きっと。



やっぱり、私なんだ……。



溜め息がこぼれたと同時に、めり込む位沈んだ気持ち。



私の溜め息に気付いたのか、目の前の男子が顔をあげた。



寝癖が着いたままの茶髪から覗く2つの黒い眼差しを、私はジッと見つめた。

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