第12話

「本当に……すいませんでした……」



空井くんに向き直り、深々と頭を下げた。



「……もういいから。……行くぞ保」



私が顔をあげる前に踵を返した空井くん。



体育館の方へ行ってしまった二人の背中を私は、大きなため息と一緒に見送った。



許してくれたのかな?



最後まで怒っているように見えた。



無理もないと思う。



全身びしょ濡れになるくらいまで水をぶっかけられたのだ。



怒らないわけがない。



また今度きちんと謝ろう。



とにかく、このままホースを使えば、また空井くんの二の舞になる人が出てきかねないし、どうしよう。



しばらく考えたあと、私はホースを片付けて、用具置き場に向かった。



目指すものが見つかって、それに手を伸ばす。



少し大きめのじょうろ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る