27話 沙也加とイチャイチャ、そして元凶と対面


「ごめん沙也加!本当にごめん!」


「ひ、裕哉っ・・・?」


行為から少し経ってお互いに落ち着いたところで、俺は沙也加に謝罪した。

理由は勿論、俺が獣欲のままに暴走してしまったこと。俺の快楽のために沙也加のことを無視して好き勝手やってしまった。


「気にしないでっ・・・・それに、嬉しかったから・・・・謝らないでほしい」


「でも!・・・・・・・わかった、沙也加がそう言うなら・・・」


「うんっ!えへへ!」


俺の謝罪に対して謝らないでと言う沙也加。

本当なら土下座をして頭を剃り上げるところだが、こう言われてしまえばただの自己満足にしかならない。


俺は別の形で謝罪しようと考え直し、言葉をぐっと飲みこんだ。


「・・・・・」


「・・・・・」


「・・・・・」


「・・・・・」


あんなことをした後ということで、会話が続かない。

今更になって無性に恥ずかしくなっていた。


「・・・・・と、とりあえず服着よっか・・・・」


「う、うん・・・」


俺たちは後ろを向きながらベッドの横に置いてあった服を着る。

正直に言えば沙也加は綺麗で魅力的だったのでもうちょっと目の保養にしたかったが・・・・・・もう一度暴走したら流石にヤバイ。


「・・・・べとべとする・・・・」


「?!」


「・・・あと、変なにおい・・・・イカくさ――」


「――は、早く服着ようか?!あと、ベッドは俺が片づけるからシャワー浴びてきて!今すぐに!」


「――えっ?うん、わかった!」


小走りで部屋を出ていく沙也加。

俺は羞恥心で死にそうだった。


ベッドを見ると薄っすらと赤いシミにドロッとした白っぽいゼリーがあった。

俺は近くのティッシュでふき取ってから、これまた近くにあったファブリーズをかけた。


「・・・・・」


何となく達成感があった。









掃除を終えても時刻はまだ16時くらい。


家には今日沙也加の家に泊まると電話したこともあり、沙也加ママが帰ってくるまで2時間ほど余裕があった。


普段であるならば、俺の得意なカーレースや格闘ゲーム、それか宿題をしながら駄弁るところだろう。


しかし、今日に限っては違った。



「えへへ・・・裕哉っ」


「・・・・」


「裕哉ー?」


「・・・・なんだよ」


「・・・えへへっ!ただ呼んだだけっ!」


「そうかよ・・・」


「うんっ!」


俺の腕を両腕で抱きしめる沙也加。

嬉しそうに体を左右に揺らしながら、俺にちょっかいをかけていた。


端的に言って、距離が近くなった。

いや、近くなったとかじゃなくてもう密着していた。


――え?あんなことしておいて俺の態度が冷たいな?賢〇タイムかって?


いやそれはだな、俺たちは確かにやる事やったけど、別に恋人だという訳ではないから・・・・・ブツブツ・・・・



「ふんふんっ♪」

「えへへ♪」

「裕哉ー裕哉裕哉裕哉ー」


「・・・・別に逃げないから・・・そんなにくっついたら暑いだろ?」


「これくらいがいいのっ!裕哉は・・・いや・・・?」


「・・・・嫌じゃないけど・・・」


「えへへ!裕哉のそういうところ好きっ!」


「もう好意隠さなくなったな・・・・」


「裕哉は沙也加に酷いことしないってわかってるからね!もういいんだー!」


振り切れたかのように好意を漏らす沙也加。

沙也加の辞書から遠慮という文字は消失していた。



拝啓前世の俺。

これがニートラップというやつですか?

どうやら俺の彼女がもう一人増えたそうです。










場所は移って沙也加家もとい大野家のリビング。

そこには、片方のソファーに座る俺とそんな俺にくっついている沙也加。

そして片方には、帰宅して部屋着に着替えた沙也加ママと姫花ちゃんがいた。


「ママー?裕哉にぃとお姉ちゃん、何でくっついてるのー?」


「え?!さ、さぁ~?ちょっとママにはわからないわね~?いつの間に 仲良しさんになったのかしら~?」


「舞依ちゃんがいるのにいいのー?」


「┐('~`;)┌ サッサァ・・・」


常識的な疑問を抱く姫花ちゃん。

しかし、それに対して沙也加ママ・・・もとい、元凶のくそビッチである若作りおばさんは、素知らぬふりを貫く。


こっちは既に実行犯から教唆犯を聞き出しているというのに・・・・

そもそも俺みたいな特殊な状況じゃなければ、普通の小学生がここまで肉体的な行為を知るはずがないし、知っていてもやろうと思わないだろうに。


「さ、さーて!、そろそろご飯の準備をしないとね~!」


「あ、沙也加ママ、ちょっといいですか?いいですよね?」


「え?!・・・えっとね裕哉君、私にはご飯の準備という仕事があって――」


「( ㅍ_ㅍ)ジトー・・・・・・」


「い、いやだからね~?私にもやる事があって~?」


「――いいからそこで正座しろ!若作りババア!」


「ば、ばば?!・・・・・・は、はいっ!」


ブツブツと「私まだババアじゃ・・・」「肌も綺麗だし」「これでも会社でモテるのに・・!!」と言いながら正座する沙也加ママ。



俺は沙也加から聞き出した犯罪行為の数々を披露していく。

いくら娘のためとはいえ、完全にライン越え。

もし相手が心は大人の俺じゃなければ、トラウマになったかもしれない大事件だろう。


・・・ちなみに姫花ちゃんはとっくに沙也加に頼んで避難済みである。こんな汚言で姫花ちゃんを穢すわけにはいかないからな。



「・・・で、沙也加はどうだった?一発やったら好きになったでしょ?」


「な、何を言って・・・・・・」


「ふふん!隠しても無駄無駄!うちの沙也加は世界一可愛いんだから!男なんてイチコロよ!」



自慢げに胸を張る沙也加ママ。

話は謝罪会見から一転して完全に猥談に移っていた。

こいつマジで反省してんのかよ。


「・・・・まあ・・・そうですけど」


「ふーん・・・・」


「な、なんですか・・・」


べっつに~?このこのっ!(。・ω・)σ)Д`)ツンツンツンツンツンツンツンツンツンツンツン」






――くそうぜぇえええええええええええええ!

こいつマジでしばいていいよな?!な?!

ニヤニヤしやがって!



こやつどうしてやろうか!

一度お仕置きが必要だな!



プランを練り出す俺。

一生おばさん呼びしてやろうか?それとも・・・・



しかし、そんな俺の耳には――


「沙也加が幸せそうでよかった・・・・本当に・・・・私と違って幸せになってほしいからね・・・」


「・・・・・・・」


そんな沙也加ママの言葉が届いてしまった。


「・・・・・・・」


さっきまでのふざけた様子とは異なって心から娘を案じる母親の表情をしていた。

それを見たら・・・・・・・俺の怒りは霧散してしまった。



「・・・・・・・」


「・・・・裕哉君が良かったら、沙也加の事これからもよろしくね・・・?」


自分がやったことが悪いことだと自覚しつつも、それはただ娘を思う一心でのこと。母親というのはこんなに強いのか。


居た堪れなくなった俺は、雰囲気を変えようとわざと明るく答える。


「もちろんですよ・・・・沙也加は俺の友達、いや彼女ですから」


「そ、それって・・・!!・・・・・・ひ、裕哉君~!」


「――うわっ!何ですか急に!」


安心させようと頑張ってカッコつけた俺の言葉に沙也加ママが抱き着いてくる。

いい大人がみっともない。


・・・まったく。子供じゃないんだから。



「うふふ!私の義息子なんだからいいのよ~!!」


「いや、それは俺が決めることでしょ!」


「いいのよ~!!」


「だーかーらー!!」



何かうやむやにされた気がするけど・・・・もう今日は疲れた。

少し休ませてくれ。


鬱陶しいおばさんを離してから、俺は沙也加と姫花ちゃんの元へ向かった。

















「・・・・」


「ふぅ・・・・・」


「――裕哉君ゲット♪次は姫花の番かしら♪」



不穏なことをのたまいながらうっきうきで料理する沙也加ママであった。







★★★

あとがき


沙也加とのイチャイチャと心は大人(笑)の裕哉くんによる説教、沙也加ママの登場といった盛りだくさんな回でした。



強烈な個性を持つ沙也加ママ。

好き。



そして遂に・・・・沙也加が恋人に。

恋人になったのは一番後だけど、レースでは一歩抜きんでたか?



なんならクズだけど責任は取りそうな裕哉の性格を考慮すれば・・・・1抜けの可能性が微レ存?!







読了感謝です!

もしよければ☆☆☆をくれたら作者が喜びます!

また、コメント等もモチベーションが上がります!


今後ともよろしくお願いします!



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