第12話

百田の邪魔しちゃった私のこと見捨てずに起こしてくれたんだ。


そう思ったら……。


不覚、胸がドキドキしてきた。


バカじゃん。


こんなの違うし!


誰だって目の前で転がってる人を見たら手くらい貸すよ。


だから、こんなこと特別なことじゃない。


こんな事で恋になったりしない。


しないんだから。


そう自分に言い聞かせて、隣で大声張り上げてる百田を見上げた。


青空を背負った百田はなぜかすごく眩しく見えて、慌てて頭を振る。


違う違うと自分に言い聞かせる。


でも、もう一度百田を見上げた時、ぶわっと風が吹き抜けた。


校庭の砂塵が舞い上がり、目の前に立つ百田と私の間に霞をつくった。


砂まみれになった私を百田が見下ろして笑う。


「スッゲー真っ白になってんぞ?」


笑われてるのに、なんでだろう。


心臓が、飛び出してきそうなほど胸を打ち始めた。

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