two

第8話

『え?もう1年経つ?』



携帯の向こうでびっくりした声を出したのは、1年の時からの親友 真島 梨香(マジマ リカ)。



彼女は例の元女子中学サッカー部キャプテン。




つまりはあのクラスマッチの時のサッカーを教えてくれた、私が思い切り怒鳴ってしまった相手だ。



あの後なぜか意気投合して親しく付き合うようになった彼女は、今ではどのクラスメートよりも大切な存在となった。



「むぅ、梨香まで忘れてるの?」



薄情な友人にグチを紡ぐ。



『その言い方は、大木くんも?』



「そうだよ、きっと忘れてた。こんな記念日とか大事に思っているのなんて私だけなのかなぁ」



『大木くんが忘れてるのは問題だけど、私は忘れてても仕方ないって言うか、無理だし』



そうだよね。自分のことでもない記念日を覚えている人は少ないよね?



『でも、ちゃんと記念日しようって言われたんでしょ?』



うん。



ちゃんと言ってくれた。



二人で過ごそうって。



だから…幸せだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る