第35話

「あ~、気を取り直して……」


ふっ、と表情を引き締めた小幡さんに皆もジッと視線を集中させた。



「……名前は、さくらちゃんですっ!!」



それだけ叫ぶと、満足したとばかりに息を吐いてその場に座り込んだ。



「は……?」



勿論、周囲の反応は理解不能とばかりに、口をぽかんと開いたまま言葉もなく。



「……ぶっ!」



多分全て理解しているだろう菅谷さんが噴き出し、笑いだした。



白川さんは呆れた表情で大きく溜め息をつく。



あー、うん。笑っちゃうかな。これは……。



「小幡さん、小幡さん抜けてますよ?一番大事な報告が……」


私の言葉に、小幡さんは自分の言った台詞をもう一度思い返している様子で。

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