第3話

「舞夏、着いたぞ」



言って、シートベルトを外して御園生さんが私を見る。



窓の外を見ると、いつの間にか、展望台のある公園の駐車場に着いていた。



「あ、ありがとうございまス」


慌ててシートベルトを外しそうとした私の指に、御園生さんの指が重なる。



え……?



シートベルトがカチリと音をたてて外れ、スルスルと左肩辺りに収納されていく。



視線でそれを追った後、背中を浮かそうとした私の目の前に黒いコートの袖が伸びてきた。



次の瞬間。







「きゃっ……?」



気づけば、シートが倒れて車の天井の代わりに御園生さんの顔が見えた。



「小幡より、すごい夜景見せてやるから」



何故か少し不機嫌な、御園生さんの目元。



「……御園生さ……?」



彼の名を呟いた、私の唇に重なる彼の柔らかくて温かい唇。

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