突然の

第1話

「ごめん、……他に好きな人ができた」



少し位、躊躇ってくれてもいいものだと思うのに。



4年、それなりに甘く過ごした私達の幕切れは、本当に呆気なかった。



彼がこの喫茶店に入ったのは、15分前。



いつものアメリカンが運ばれてきたのは5分前。



彼が私に別れの言葉を口にしたのが、1分前。



私にとって、大切な4年間が、たった15分でendingを迎えた。



運ばれてきたコーヒーから湯気が消えて、猫舌の彼が一気にそれを飲み干す。



形のいい喉仏が上下するのが色っぽくて、好きだった。



今日は少し急ぎすぎな気がするけれど。



仕方ない。



別れた相手と何時までも顔をつき合わせているのは、



優柔不断で、優しい彼にはかなりのストレスなのだろう。

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