1
穏やかに
第1話
PIRI……
PIRIPIRI……
PIRIPIRIPIRI……
徐々に大きくなる携帯のアラームが鼓膜を震わせて。
その所在を、ばたばたと叩くように手を伸ばして探した。
虚しく空を切る手のひら。
携帯は尚も自らの職務を全うし鳴り続ける。
「美沙、」
PIRIPIRIPIRIPIRIPIRIPIRI……
「美沙、起きないと遅刻しますよ?」
携帯のアラームとは比べ物にならない優しく、甘い声音。
そんな声じゃ目覚ましにならないよ?
夢現にその声に突っ込んだ。
「!?」
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