あの日――――、

『オレが、キミに教えてあげる』

そういった直後、

『でも、オレにも片想いしてる相手がいるから擬似恋愛体験ってことと……』

思いもよらず、望む形に進んだ事で、心臓バクバクの緊張MAXの私は東条さんの言葉を聞くにつれ、高揚していた気持ちは、あっという間に萎んでいった。

『擬似恋人同士って、どうすればいいのか分かんないんだけどね』

さらっと言われてしまう。

それって、ＯＫしたことになるの？

疑問は浮かぶけど、私も恋愛初心者。

何をもって擬似体験できたことになるのかなんて、分からない。

でも、

「東条さんの、そばにいていいんでしょう？」

と、問えば。

ニッコリ頷いてくれた。

それだけでいいと思った。

それだけで、嬉しくて幸せだから。

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