ピアノが趣味の大学生
第1話
放課後の音楽室で、鍵盤を叩く指の流れを追いながら、ちらり、その指の持ち主を見上げた。
楽譜と鍵盤の、交互に視線を向けるその目は切れ長で。
緻密に並ぶ睫毛が瞬きに倣って上下する。
スッと通った鼻筋に続く、薄い唇はうっすらと紅い。
好きだなぁ……って思う。
目を瞑ると、彼が奏でるトロイメライが鼓膜から染み入っていくみたいにして脳に届く。
机に肘をついて、手の上に顎を乗せた格好の私に一瞬だけ目を向けた東条さんは、メロディーと同じ様にゆったりと笑った。
笑顔も、好きだなぁ……。
こんなに好きなのに。
――――東条さんには好きなヒトがいるんだよね。
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