第7話
「自分への手紙、なんて書いたの?」
スコップを持つ腕が疲れたから一休みして、桜の木の根に腰掛けた。
「ばぁか、20歳の自分より先にお前に言うかよ」
幹にもたれた風馬が呆れた声音で言う。
「けち、」
「……なら、お前は言えるのかよ」
なんて言われたら、
勿論言えるわけないよ。
「……言えないけどさ、」
「だろ?」
風馬は、知りたくないのかな?
私が何を書いたか。
私は知りたいよ?
風馬が10年先の自分に宛てた手紙に何が書かれてあるのか。
ねぇ、風馬。
その手紙の中に、私は存在していますか?
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