第2話

「コーヒー冷めるよ……飲まねぇの?」



さっきから見てたの、コーヒーだったんだ。



ずっと伏せた視線の先、気になってたんだよね。



「飲むし、」



カップを口に運び、一口口に含んで無理矢理飲み込んだ。



やっぱり、ブラックは苦い。



先輩が好きなブラックコーヒー。


私も同じものを好きになりたくて、先輩といる時はいつもブラックコーヒーを頼んでる。



まるで苦行に耐えしのぐ僧侶みたいな気分。



「眉間に皺……寄ってんぞ」



ちょいちょいと人差し指を眉間に当ててわざと皺を寄せて見せる。


「う、うるさいな」



「貸せよ、」



私の返答を聞かず、カップを奪っていく三神。



黙って様子を見てると、砂糖とミルクを入れている。



それも、たっぷりと。



そのカップを持ち上げ私の前に置く。



「無理して飲めねぇモン飲むなんてアホくせぇ」



ちくり、厭味付きで。

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