第12話

放課後、正門の脇花壇のレンガに腰掛けて小林を待っていた。


奴め、校門に着いた所で財布を教室に置いて来たなんて言うから仕方なくこの場で待つことにしたのだ。


5分後……目の前を優雅に手を振りながら歩いてくる小林に、一瞬ムカついた。


なに優雅に歩いてんのよ。人を待たせておいて!


立ち上がって小林を呼ぼうとして、ハッとした。


小林の隣、小林より10cmは高い背丈の伊吹が小林と楽しそうに話していた。


あれが、デススマイルね……。


小林に向けられるキラキラの笑顔に暫し見惚れてしまう。


私達女子からしてみれば、エンジェルスマイルなのに。



「妃奈、悪い待たせた」



小林が私に気付いて手を振る。


その隣にいた伊吹も私を視界に入れた。

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