第6話

そんな伊吹も、楓とは普通に接していた。いや寧ろ、友好的に。


というものも、同クラになって噂通り愛想のカケラも無い伊吹に楓は開口一番、


『私、アンタと友達になって見せるから!』と宣言した為だ。


恋人宣言をしたなら、楓は一気に女子全員の敵になっただろう。


ただ、友達宣言をしたことと、自分の恋愛にはとんと興味をもたない楓だし、楓が仲良くなればクラスイベントの伊吹出席率が上がるだろうという狡い目的の為に女子の大半が、目を瞑ったのだ。


勿論、女子の目論見通り、伊吹のクラスイベント出席率は99%になった。


無愛想な憧れの的が、一歩近づいたことにクラスの女子全員のテンションは上がった。



そして、面倒くさい関わりを避けたい私もそうはいってもやっぱり女。


男子だけに見せる伊吹の笑顔に『キュン』とくるのは自然な感情だと思う。

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