Mail.1

納涼会

第1話

「ほぉら、先生ももっと飲んじゃってください~。」




中ジョッキ片手に、先生と呼んだ鍋島 達也(ナベシマ タツヤ)医師のそばへ近付く。




今日は、私が勤める市内個人病院の納涼会。




18時から始まった会は、既に3時間を過ぎて、皆酔いが回っていい調子に砕けていた。




かく言う私も、ビール→酎ハイ→日本酒→ワインでほろ酔い気分。




普段無口な私も、弾む会話に気分も大きくなって、先生方にお酌をして回っていた。




「花崎くん、酔っぱらったね」




何度か言われた言葉に、「全然ですよぉ」なんて言いながらも、足元はフラフラだった。




20歳でお酒の味を知り、先輩看護師に鍛えられてるはずだけど。




……さすがにチャンポンは不味かったかな?




頭の隅っこでは、冷静な自分もちゃんといた。




  『酒は飲んでも

   飲まれるな!』




なんかの標語でしった言葉が、あたしの脳にインプットされていて、多分ブレーキをかけてくれる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る