第16話

『他の曜日は、他のコのものだから。』




他のコ?




1人じゃないんだ?




呆然とするあたしの前で、物理準備室の扉を閉めた。




あれ以来、木曜日になると、雑務を口実に物理準備室へ呼ばれていた。




あたしも、ばか正直によくも大人しく従っていたと思う。




でも。




逆らえなくなる。




この部屋で甘いチェリーロリポップの香りに包まれていく、あの瞬間を手放したくなくなっていく自分がいた。

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