第10話

なかなか次を言わないあたしに、焦れた様子も見せずに先生は、いとおしげにあたしを見下ろしている。




「…ッ…」




言葉を紡ごうと開いた唇に先生の舌先が触れた。



それを合図にして、先生の唇があたしの唇に降りてくる。




肩を掴まれて、ゆっくりと唇で唇を食んでゆく。




「…ハ…ァ…」




『キスの合間に息をすればいいんだよ』




初めてキスした時、息をずっと止めていたあたしに、先生はそう教えてくれた。




でも、先生のキスはなかなか呼吸をさせてくれないから、いつも苦しい。

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