第16話
「…逃げんな、馬鹿。」
耳元で呟かれた声に鳥肌がたった。
鳩尾辺りがキュウッと締め付けられる。
「お前、今は素面なんだよな?」
訴えかけるような声に戸惑う。
「先生?」
「素面なのかって聞いてるんだよっ、」
余裕のない声音。
(先生、どうしちゃったの?…っていうか、この状態は一体何事?)
頭の中パニック状態。
「覚えてる…わけないよな?昨晩の事。」
(昨晩…って、やらかしてしまった失態の数々?)
「スミマセン…なにも」
先生は、答えたあたしの体をぎゅうっと抱き締める。
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