告白

第1話

暖房が効いた教室でお弁当を食べ終わった後、狙ったように、教室を出て行く背中を追いかけた。


廊下に出た途端、冷やっとした空気が柔肌を刺す。


春はまだ遠い。気候はまだまだ冬といった方が近い。それもその筈、今はまだ2月下旬。


けれど窓の外を見れば、桜の蕾は少しずつ膨らんで、春の到来を待ちわびている。


足音だけなら聞こえてきそうなほど近くに。


だけど、私の恋は……。



「や、矢崎くんっ、彼女にしれください!」



寒っ、と身震いしたせいで、呂律が回ってなかったかも……と思ったけど、もう遅い。


ビシッと指先まで揃えた手を、真っ直ぐ前に差し出した私の視線は、目の前に立つ人のサンダルにある。


27、いや、28㎝位あるよね。

2年の時は26.5㎝だったから……また大きくなってる。


身長は入学当時は165㎝位で、今は175㎝に伸びてるって友達と話しているのを聞いたばかり。


男の子の成長スピードって、本当に凄いよね。

感動するもん。



「……無理」



矢崎くんの成長を母親みたいな気分でホクホク喜んでいたのに……。


今月に入って、ええと何度目だったっけ?

1年の時から告白し続けて来たから2桁にはなっているはずの私の告白。


今日も素気無く撃沈ですか。



「どうしても、ダメ?そろそろ折れてくれても良くない?」



2桁の数字振られ続けていれば、少しは耐性もできてる。


一度断りの言葉が出て来ても、はいそうですかって、離れていくことはできない。


毎回最後の足掻きは試みてる。


でも……。



「……やっぱり無理」



つれないなぁ……。

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