第87話
「?」
「御門さんって、宇野とどういう関係?」
「え?」
一瞬、聞かれている意味が分からなかった。
「もしかして、宇野のモトカノだったりして」
「川原くん?」
「今回宇野に会いに来たメンバー、保護者代わりの二人を別にして、高田くんと市原さんは恋人同士だとして、じゃあ、きみは?宇野に会いに来たんだとしたら……って分かりそうなもんじゃない?」
「ち、違うよ」
モトカノなんかじゃない。彼女にすらなれなかった、ただのクラスメイト。
嘘は言っていない。
「ふうん……じゃあ、御門さんって今フリーなの?」
なんだがすごく軽い口調で話す川原くんに警戒心がわく。
さっきまでの雰囲気とどこか少し違う。ちょっと意地悪な印象に感じてしまった。
「誰とも付き合っていないけど」
「けど?」
誰とも付き合っていないし、付き合うつもりもない。私が好きなのは、たった一人だから。
「いろは!」
市原さんの声が聞こえてそちらを見ると、ちょうどみんながこちらに向けて歩いて来る。
「心配したぁ、振り向いたらいろはいないんだもん」
「ごめん、ね。人が多くて……」
「川原くんが見つけてくれたの?ありがとう」
市原さんと茶原さんがそばに来てくれて、一気に緊張が解けた。
そのすぐ後ろには宇野くん達もいた。
宇野くんと一瞬目があった気がしたけれどすぐに逸らされてしまって、それが余計寂しかった。
宇野くんが私のことを心配してくれることは二度とないんだって、それが嫌ってほど分かって胸が苦しかった。
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