第67話

私はあの日の宇野くんを信じているけれど、宇野くんがもし本当に高田くんの言葉通りだとしたら……そう考えれば怖くて仕方ない。


さっきまで前向きでいられたはずの心はこうも簡単に揺れてしまうから、もっと強くなりたいなと思う。



「大丈夫じゃね?俺、長いことあいつと付き合ってるけど、あいつは結構しつこいタチなんだ。アンタのこと簡単に忘れられるほど潔い人間じゃない」


「そう、ですか?」



彼と親しい高田くんが言うのだから、そうなのかもしれない。ううん、そうであってほしい。



「じゃあ、GWに会いに行こうか?みんなで。私車出すよ」


「茶原さん車持ってるんですか?」


「もちろん。図書館みたいな静かな場所で仕事はしてるけど、バリバリのアウトドア人間なので、なんならキャンピングカーも出せちゃうよ」



茶原さんの意外な趣味に驚いて、でも気持ちは本当に嬉しかった。高校生とはいえ、子供だけで遠くまで行くことを、うちの親が許してくれるかは微妙だし、茶原さんが保護者として付き添ってくれたら、心強い。



「じゃあ、決まりだな。宇野にゴールデンウィークに会いに行くって伝えとく。もちろん、御門が一緒だと言うことは内緒にしとくから。あいつに逃げられたら困るだろ」



どこまでも宇野くんのことをよく知っているのだろう高田くんの言葉通りにすることに了承した。



「ちなみに、宇野くんは今どこに住んでるの?」



至極当たり前の質問を茶原さんがして、高田くんがスマホのアプリの地図を開いて示してくれた。

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