第66話
「付き合ってやってもいいけど……」
「え?一緒に来てくれるの?」
今宇野くんが居る所を教えてくれるだけでもありがたいのに、一緒に付き合ってくれるなら尚更心強い。
「言っただろ?俺はあいつだけが辛い思いをするのが嫌なんだ。アンタの言うことが本当だとしたら、なんで好き合ってるやつらが嘘ついてまで離れなきゃいけないんだよ」
「近くにいられないから、寂しい思いをさせてしまうから、嘘でもついて離れるしかなかったのかもね」
茶原さんの言葉に、高田くんが「あの阿呆」とあきれた口調でこぼす。
「アンタはいいのかよ。この人が言うようにそばにいてやれないからってことを宇野が気にしているとしたら」
「もちろん、会いたい時に会えないのは寂しいのかもしれないけど、だからって一人で居ることが辛いかといったらそうでもないんですよ。高田くんとご存じの通り、今までだってボッチを有意義に過ごしていた人間なので。それに……会いたくなったら、会いに行くつもりなので」
宇野くんに会えるかもしれないと思ったら、不思議と前向きになれた。
距離じゃなくて、気持ち次第で人は強くいられるものだと思うから。
もちろん、寂しくてそばにいられないことを苦しく感じる日が来るかもしれないけれど、その時は距離を縮める努力をすればいい。
出来ることなら、お互いに。
「アンタって以外としぶとい人間なのかもな」
「しぶといですよ。でも、宇野くんの気持ちが離れてしまっているのなら……どうしようもないですけど」
本当は怖い。
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