第26話

宇野くんはあっという間に場になれたみたいだけど、私はやっぱり少し人見知りしてしまう。


それでも、皆んながとてもいい人で、少しずつ仕事も覚えると、そこはとても居心地のいい場所になった。


そうして図書ボランティアをするようになって、図書館の仕事の大変さを知った。


図書館を訪れる人の年齢は様々だ。幼稚園児からご年配の人達と、本当に様々。


皆んなが本が好きな人達というわけでもなくて、調べ物をしたりとか、暇つぶしに訪れる人もいた。


なんせエアコンは効いているし、静かだし、映像ブースもあって、ただでビデオが見れたりもするから。


中には図書館という公共の場にそぐわない態度をとる人もいた。


小さな子供達が走り回ったり、母親達がおしゃべりに夢中になっていたり、時には急に声を荒げる人もいれば、本を粗雑に扱う人もいた。


そんな人達をうまくとりなすことも職員の仕事だった。


粗雑に扱われた本は丁寧に修繕され、またたくさんの人達に読んでもらう為に本棚に並ぶ。


本の修繕のお手伝いもしてみたけれど、とても細かな作業で時間もかかる。


落書きされた本を1ページずつ捲って、消しゴムをかけた時は、手がプルプルと震えてしばらく指の感覚がおかしくなった事もあった。


同じ姿勢で何時間もいるから、首や肩が凝ったり、重い本を抱えて腰が痛くなることも。


本当に地味だし、力仕事だし、図書館の仕事って大変だって、しみじみと思った。

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