第18話

「見ないから。今みたいにここで寝てるからさだから、そこで読めば?」


「はい?」


「俺ら、まだクラスメイトだろ?そんな相手に避けられると結構傷つく」


「は?避けて……」


「るだろ?避けてるからここに来なかった。……違う?何か用事があった?」



責めるような口調に驚いて即答できず、「ほらな」と答えを決められてしまう。


まぁ、避けていなかったといえば嘘になるけれど。



「宇野くんって変な人」


「何回目だろう、御門さんにそんな風に言われるの」


「だって、本当に変な人だもの」


「まぁ、いいけど。とにかくそこに座ったら。地味に目立ってるよ、俺ら」



宇野くんの言葉に周囲を見回すと、宇野くんのことを教えてくれた職員の女性や、近くにいた学生や年配の人がこちらを気にしているのが見えた。


急に恥ずかしくなって言われるまま、宇野くんの前に座る。



「邪魔しないからさ。俺もここで寝るの結構気持ちよくて好きなんだ。だから、気にせず読んでよ」



いいとも悪いとも言わないうちに、宇野くんは寝入ってしまった。


ここは図書館であって、お昼寝をする場所じゃないと、そんな言葉をかける間も無く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る