one color
第1話
◇
市内の私立高校に入学して、もう少しで1年が経つ。
高校生活1年目は入学当初から、別に期待とか、不安とか、そういう感情に振り回されることなく、淡々と過ごしてきた。
『今日』が終わって、又『明日』が来て、そして又『今日』という日が始まって……そして終わる。
本当に淡々と。
だけど、それが私にとっては最良だった。
自分の感情が不安定に揺れて、いつもの、当たり前の日常が送れなくなることの方が嫌だったから。
周囲からそれが退屈だと思われたとしても、私にとっては、それは凪いだ海のように、心落ち着く日々だったから。
それが私の望みだったから。
一人でいることは嫌いではなかったけれど、困ることはあった。
授業で周りの人と、意見を交換することを指示された時や、グループを作るように言われた時なんかは。
だけど大抵誰か一人は、世話焼きだったり、同情からだったりで誘ってくれる人がいて。
とりあえずは事なきを得ていた。
人と揉めるのは面倒だったし、自分の意見を押し通す気力も持っていなかったから、長いものに巻かれて、存在を紙のように薄くして、いるかいないか分からない……そうしていれば、その時だけはたとえ酸素を薄く感じたとしても耐えることはできた。
そうして1年間を過ごして来た。
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