第5話

「萌〜、もしもーし」


「はっ。ごめん、ぼーっとしてた」


香音に呼ばれて我に返る。


「1時間目英語だけど、課題やった?だいじょぶそ?」


うわっ。忘れてた。


「かのーん。宿題……」

「自分でやれよ」


見せて。と言おうとしたのに、祐樹にズバッと遮られた。


「祐樹はしてきたの?」


「もちろん。お前と違って学年一位の男だからな」


学年一位はすごいけど、宿題とは関係ないでしょ。


まあ、あたしがツッコむ事じゃないけど。


「解き方は教えてあげるから、自力でやるんだよ?」


香音も、解き方教える。じゃなくて答えを教えて欲しい。


「頭いい2人に挟まれてるあたしの気持ちにもなってみてよ」


「だから解き方教えるって香音が言ってるだろうよ」


俺ら優しいから。なんて祐樹は笑うけど、笑い事じゃない。


確かに優しいけどさ、祐樹は毒吐くし、香音は正論を言うし。


だけど、このメンバーが大好きなのは変わらない。



「ほら、早くしないと遅れるよ!」


チャイムが鳴って、教室へ急いだ。

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