義妹に妹の座を寝取られた妹ちゃんが、今度はお姉ちゃんの彼女さんを目指すようです！

畔柳小凪

「酷いよお姉ちゃん！　双葉という女がいながら、他の女の子を妹にするなんて！」

　土曜日の昼下がりのファミレスで、わたしは思わず机を叩いて立ち上がっちゃう。その衝撃で食べ終えた食器が震え、何事かと店内の他のお客さんがわたしたちに集まる。それを見てやっちゃったな、と少し反省する。

　その状況でお姉ちゃんはあたふたして、人差し指を口元に当ててくる。

「ふ、双葉ちゃん、いったん落ち着いて。ここ、お外だからそんな騒がしくしちゃダメだよ」

「ごめん。……でも、これが落ち着いていられる？　お父さん達の離婚のせいでわたしたち、一緒に住めなくなっちゃったんだよ。その上、お姉ちゃんに新しい義妹ができるなんて、そんなんじゃ、姉妹なのに一緒に住むことすらできない双葉はどうなるの？　双葉はいよいよ、お姉ちゃんにとっての『特別』じゃなくなっちゃうじゃん！」

　なんか話していたら涙で視界が霞んでくる。泣き落とそうとしてくる女の子なんて、わたしのめちゃくちゃ苦手だったんだけどな……。そう思っても、拭っても拭っても瞼から零れ落ちる涙は止まってくれない。

　そんなわたしのことを、お姉ちゃんと初対面の黒髪美少女はおろおろとした表情で見つめていた。そんな表情で二人に泣き顔を見られるのが惨めで、余計に辛くなってきた。