第44話

「……ところで、次のご予定はいつ?」


バイト上がりに帰り支度を済ませたはるちゃんが、まだのわたしにそう訊ねてきた。



「ご予定?」

「とぼけないでよお。なるとのデートの予定だよ〜」

「ご期待に添えず申し訳ないけど、しばらくその予定はないよ」

「ええっ、なんで?!」


まさに、目をまんまるにしたはるちゃん。

そんなに驚く?


「なる、8月中は夏期講習があるし、推薦で受かれば年内に終わるけどとりあえず今はそれどころじゃないって言ってたよ?」

「だって、付き合いたてのカップルなんだよ? もっとイチャイチャしてるところ見せてよー」

「他人の見ても楽しくないでしょ」

「いや! ふたりは特別なの!!」

「あ、そう……」


はるちゃんの圧は凄まじいけれど、他人にそんなところを見せるなんて、恥ずかしさのが勝ってしまってむりだ。たぶん、なるだってツンツンしてると思う。


あの日、ようやくお互いの気持ちが通じた日、あいつは手放したりしてあげないと言ったくせに、このありさまだ。いわゆる、放置プレイ状態。

まぁ、わたしも大学が休みとはいえ課題は出されているからそれらを片付けないといけないし、こうしてバイトもあるし、大学の友人との付き合いがあったりで忙しく過ごしているから寂しく感じる暇はないけど。

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