第29話

「……それ、デートじゃない?」

「はぁ?」


嘘でしょ。



翌日、バイト先ではるちゃんと休憩中に昨日あったできごとを話すと、そう言われてのわたしのリアクション。



「ない。というかなんで急にこんなことに」


再会してから連絡先だって交換してたこと自体忘れてたくらい全然取ってなかったのに。


「……はるちゃん、わたしが試験終わったこと教えたでしょ」

「え〜? なんのこと?」

「とぼけないでよ、もう。まずあんないいタイミングであいつから連絡くるなんてありえないし」

「そうだよ。ひかりちゃんテスト終わって大学生の長い夏休みに突入したんだからなんかアクション起こさないとほかの男のひとにとられちゃうよって言ったよ」


うわ、開き直ったよこの子。



「やっぱり……」

「でも悪いことしたとは思ってないからね! なるの行動力の早さにはさすがに驚いたけど」



うん。

わたしも驚いた。


正直、あの雨の日以来、なるとは顔を合わせていないから、きっと見た目以上に緊張している。

それに、勝手に期待してる。

中学のとき、本当はわたしのことがすきだったって。

そして今でもわたしをすきでいてくれて、わたしから告白させようと思っているって。



でも、確信はない。

だから、まだわたしからは何も言わない。

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