第2話 入隊試験を受ける

一気に近づくと魔法を発動———は使えないので、ただのパンチを繰り出すと、グランデは防御魔法も間に合わず、一気に吹っ飛んだ。

「な、何をする。奴隷ごときが私に逆らうな!」

「じゃあ倒してみろよクソご主人様!」

そう言って俺はもう一発今度はみぞおちめがけて殴る。

「ゔっっ」

グランデはうめき声を上げ、その場に這いつくばった。

「さてトドメを」

「待て、悪かった。言う事を聞くから殺さないでくれ。」


醜く命乞いをするグランデを見下ろして俺は言った

「じゃあこの奴隷紋を早く消せ」

「わ、分かった」

そう言うと慌てて呪文を唱えた。

「奴隷紋 解除 対象 スカイ・クール」


俺は手を見て奴隷紋が消えているのを確認した後、こう言った。

「グランデ。助けてほしければもう一つ俺の言うことを聞け。」

「な、何だ」

「俺を兵士として軍の入隊試験を受けさせろ」

それを聞いてグランデは驚いた様子でこう言った。

「お前正気か?」


グランデが驚くのも無理はない。

なぜならこの国の軍は世界一厳しく、多くのものが挫折し、死者も出ているからだ。


「聞くのか聞かないのかどっちだ」

俺はそう言いながら拳を握りしめた。

「き、聞く。聞くから許してくれぇ」


ほんとにこの貴族も哀れなもんだ。

奴隷ごときにやられて、なんのプライドもないのか?

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数日後、入隊試験の日がやってきた。


正直言って、軍とか絶対入りたくはなかったが、この世界では軍に入らないと強化魔法を使えないのだ。

俺はやっとまともな人生になったのに死にたくはない。

だから、死なないために強化魔法が必要なのだ。


そう思いながら門をくぐると一人の教官が立っていた。

「名は何という」

「スカイ・クールです」

「能力は?」

「カスタムです。自分の能力を自由に変更できます。」

「……正直に言え。お前の能力は?」

「嘘はついていません。」

「なら見せてみろ」


そう言うと教官は一瞬で剣を抜き、俺の懐に入り込んだ。

「速っ」

俺はステータスの上昇のお陰でぎりぎり避けた。

「いきなりなんのつもりですか?」

「何、簡単な試験だよ。お前が俺の攻撃を3発耐えたら合格だ。2発目行くぞ」

そう言うと今度は魔法で斬撃を飛ばしてきた。

「こんなもんか」

俺はそう言うと軽く素手で受け止め、跳ね返した。

「これは驚いた。どうやらお前の言ったことは嘘ではないようだ」

「なら…」

「だが試験は試験だ。」

そう言うと、今度は剣に炎を纏わせ、見えない速度で投げてきた。

「くっっ」

剣が腹に刺さった。

「終わりだな」

そう言うと教官は剣をしまい、元の場所に座り次の受験者を呼ぼうとした。

「まだだ!」

そう、俺は回復能力をつけていたのだ。それもチート級の。

「はっははは。合格だ。行っていいぞ」

教官は笑いながらそう言った。

このときの俺は知らない。


——————強化魔法と、カスタムが相性抜群なこと


——————元奴隷とは思えない武功を上げ、昇進すること


——————各国から、「改革者」と呼ばれ、恐れられること


——————多くの美女に追われるようになること


「これからよろしくなスカイ」

「はい。こちらこそよろしくお願いします教官」


全て俺には知る由もないのだった——————

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まさかの下剋上

激アツ展開過ぎるぜスカイ!

ということで、今後ともよろしくお願いします。

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