ファーストキス

第1話

初めてのキスは、素敵な思い出に残るようなキスがしたい。

そう思って生きてきて15年、いまだに彼氏ができたことがありません。


「そういう少女漫画みたいな夢を持ってるやつこそ、キスできないんだよ」

友達にはこうやって怒られる。


でも、やっぱり、少女漫画みたいな展開に、憧れちゃうんだよ。



「まず、男子と関わりが少ないのが御法度。話しかけなきゃ出会いは少ないままだよ?」

「う、ん…」


だけど、なんか、男の子に話しかけるのって、緊張しちゃう。

こういうとき、少女漫画だったら、かっこいい男の子とぶつかって、その衝撃でキスしちゃう、なんてことよくあるのになぁ…



「あ、ちょっと!」

「え?」

友達が慌てた様子であたしを呼ぶから振り向くとどん、と誰かにぶつかってしまった。


その衝撃で鼻に直撃。じんじん痛い。



「っ…」

「あ、ごめん…」

大丈夫?と訊かれてそちらに顔を向けると、そこには学校でも人気のある男子くん。


「どこが痛いの?」

「鼻…」

「ごめんね、」

泣かないで?そう言って予想もしないことをされた。


「っ…」




おでこに、キス。


痛かったせいで涙が出てきていたみたいだけれど、そんなものも引っ込んでしまった。




ファーストキス

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