第15話

「こういう日誌はね、適当に書いちゃえばいいの。

 どうせそんなに先生だって読むわけじゃないから」


「え…でも…」


「仕事はあと日誌書くだけで終わり?」


「あ…うん」


「…よし、日誌書き終わり! 職員室持っていこうぜ」



そう言って彼は立ち上がり、教室を出て行こうとする。




「ち、ちょっと待って!」


「早くしろよー」


あたしは彼の後をついていくので必死だった。




「…失礼しましたー」


彼が日誌を書いてくれたお陰で、いつもより日直の仕事が早く終わった。



「今日はありがとう」


「…ねぇ、このまま一緒に帰らない?」


「え?」


「今日のお礼ってことで」


「こんなんでお礼になるの?」


「うん。 だってね、俺…」


「…っ」




彼はあたしの耳元で「ずっと前からお前のこと好きだったんだから」と囁いた。



靴を履き替え昇降口を出たときには、もう既に雨は止んでいた。





雨は止んだらしい



(…で、どうなの? 俺の告白の返事は)

(ま、まだわかんない…)

(ひっでーな、オイ)


わかんないなんて言っても、本当はあなたの虜。


(…ま、いーや。 ムリヤリでも今日からお前は俺の彼女な)

(…え?)

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