第5話

「つーか、なんでお前は聞こうと思ったんだよ?迷惑してたからか?」


「…」


「すぐに答えが出ないってことは、お前、あの子のこと、気になってるんじゃ」


「うっせ!黙っとけ!」


「あ~怖い怖い」



まったく…、裕貴は俺のことバカにして楽しみやがって。





…でも。


ほんとに、どうしたんだろ…。




俺は女には不自由してないほうだと思う。

だから遊びなれた女とつるむほうが、正直言って気楽だ。



…なのに。

あんないかにも恋愛初心者で、弱弱しいヤツが気になってるなんて…。





「俺らしく…ねーよな」


俺は誰にも聞こえないくらい小さな声でボソッと呟くと、帰ろうとしている裕貴の後を追って、学校を後にした。

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