最弱スキル【紙生成】で最上位ランク目指してます。
ぞーすい
1話
とある病院の一室。
消毒の匂いが立ち込める中,2人は話す。
『婆さんや。儂が死んだら儂の部屋ののタンスの中の封筒をあおいにあげてくれ。そしてあおいにこう伝えてくれ。「儂はいつでもあおいのそばにおるから,そんなに悲しむんじゃないぞ。」って。』
『わかりましたよ。信一郎さん。今までありがとうございました。』
『あぁ。それじゃあ行ってくるな。』
儂はそう言って目を閉じて,今までの人生を振り返る。
小さい頃から折り紙が好きだった儂,
そこで色々な紙と出会い,それを求める様々な職業の人たちと出会った。
そしてその中の1人だった小説家の
老後は特に何かをするわけではなく暇な時間に折り紙をしていた。
昔からやっていたから折れるものの種類は増えてネットで調べて折ったりもしていた。
そして今,97年というこの長い人生に終止符を打った。
『ひと足先に天国で恵美を待つ支度でもしておこうか…。』
◇
目を開けるとそこには見慣れない空間が広がっていた。
「なんじゃ?ここは。」
そう言った途端,後ろから鐘のような金属音がなる。
「こんにちは,栄川信一郎さん。私は神です。混乱してるとこ申し訳ないのですがあなたに一つ頼みがあるのです。」
そう言うと,神は儂に一枚の紙を見せてきた。
新聞に似た紙だ。
そこには衝撃的なことが書いてあった。
「この世界から紙が無くなる?」
「そうですね。まずは現状についてお話ししていきましょう。紙職人はあなたがお亡くなりになられたことで,この世から1人もいなくなってしまいました。そして世界は今,非常に深刻な資源不足に陥っています。それを救うためには別次元からの資源の提供が必要になるのです。そこであなたに協力をお願いしようかと思いましてね。」
神が言うには,この世界と別次元の世界を繋ぐには両方の世界に90年以上滞在する強いつながりを持つ人物同士がスキル【共存】とやらを使って繋ぐ必要があるらしい。
そして別次元の世界の15年がこの世界の1年と設定されている。
つまり儂がこの世界で90歳の時に儂と1番強い繋がりを持つ恵美さんは96歳ということになる。
この話は受けるべきなのだろう。
実際のところ儂は大好きだった紙がこの世界からなくなるのは嫌だし,何より恵美さんに不自由な生活送ってほしくない。
『なら答えは決まっているな。』
「わかった。その役、引き受けようと思う。詳しい説明をしてくれ。」
「ご協力感謝いたします。それでは早速説明に移りましょう。まずあなたが別次元の世界ですべきことは3つあります。」
そう言って神は詳しい説明をしてくれた。
1つ目。
SSSランクになり、ギルド本部マスターになること。
2つ目。
スキル【共存】を最高難易度のダンジョン、『re mond』をクリアして手に入れること。
3つ目。
90歳になるまで死なないこと。
この3つが主な条件だった。
「あなたが最後の頼みなのです。どうかよろしくお願いします。」
「まかせろ。恵美さんが安定した生活を送れるよう本気出すからな。」
そう言って儂は2度目の人生を歩むために再び目を閉じた。
◇
2度目の人生のスタートは部屋の中だった。
「ん?どこだここ。」
あぁ,そうか。
儂は転生したのだ。
鏡を見てみるとそこにいたのはしわくちゃなおじいちゃんではなく,16歳くらいの青年が立っていた。
この世界での儂の姿なのじゃろう。
この姿に合わせて,口調も変えるようにしようかの。
神から教えてもらったことを頼りにこの状況について確認していく。
まずは,ステータスか。
『ステータスオープン。』
【ステータス】
名前/シンジ・アレイグ 年齢/16歳 性別/男 LV/1
HP/1000 MP/10000 A/1000 D/1000
【装備】
革の防具 黒のローブ 黒の手袋 始まりのチョーカー
【スキル】
紙生成…紙を生成し操ることができる。紙の規模や構造によって消費MPが増減する。
【魔法】
なし
【スキルマップ】
『紙Lv1』←unlock
(生成Lv1)→(生成Lv2)[10]
(操作Lv1)→(操作Lv2)[15]
(MP増加+150)「40」
(深層構想獲得)→〔生成Lv2・操作Lv2・MP/11050〕[150]←lock
『紙Lv2』←lock 100
『紙Lv3』←lock 150
『紙Lv4』←lock 200
『紙Lv5』←lock 250
とまぁ,なんとも言えないステータスだ。
前世の俺に近づけてくれたのだろう。
だけど…。
「MPに全振りしすぎでしょ。」
確かに【紙生成】はMPの消費量が他より多いらしいけど,別のステータスにも振って欲しかったものだ。
「それより,このスキルがどこまで使えるのか試してみないといけないな。」
そう思い,神から登録してもらった『マップ』機能を使って1番レベルの低いダンジョンに行くことにした。
◇
ダンジョンに入ろうとしたら、何やらガイドみたいな女性に止められた。
「ダンジョンに入るのなら冒険者証を見せてください。」
『しまった。』
ダンジョンに入るには冒険者証がいるらしい。
サクッと作ってダンジョンに入ろう。
「それってどこで作ってもらえるんですか?」
「街の東の冒険者ギルドで冒険者登録をしたら作ってもらえますよ。一応紹介状書いておきますね。」
「ありがとうございます。」
紹介状を手に持って俺は冒険者ギルドに向かった。
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