第2話

第42話

「クシュッ!!クシュッ!!ファーックシュ!!」



「丁!!」




ゴチッ!!




「だ……旦那様!?」




クシャミを連発してしまったら、慌てた旦那様が額を合わせてきました!!



ちっ、近いですわっ!!



眼福ですわっ!!



瞳がハートになりそうなのをなんとか我慢していたら



わたくしと額を合わせ瞳を閉じていた刹鬼様が、カッと瞳を開く。



美しい美しい烏玉色の瞳が真っ直ぐわたくしを見据える。



この瞳に映れる幸せ。



刹鬼様がわたくしを見てくださる幸せ。



至福のときーー。




「刹鬼さ」



「熱がある」



「ふぇい!?」




我慢出来ずに抱きつこうとすると、そんなことを言われる。



熱??



そういえばいつもより体がポカポカしますが、そんな




「朝も飯をそんなに食べてないというのに昼も残して、具合が悪いのではないかと思っていたが……」




あっ。


それでいつもなら仕事中のこの時間に来てくださったのですね。



何事かと喜びはすれど、まさか自分の体調を気にして下さってのことだとは露ほども思わず。



やけにクシャミが出るなとは思っていましたが、まさか熱があるとは……。




ハッ!!



風邪ならば、刹鬼様に移してはなりません!!



離れなけれ




「うひょいっ!?」




離れようとする前に、お姫様抱っこをされる。




「刹鬼様!!」



「今日はもう寝ろ」



「いや、でもっ」



「寝ろ」



「あ」



「命令だ」





話すっ、話す間さえ与えられませんっ。




夫婦の寝室に連れてこられると、布団が既に敷かれていて……



間違いなく真鬼がやってくれたのでしょう。




ソッと寝かしつけられ、しっかりと布団が被せられました。




「申し訳ありません、旦那様」



「何故謝る?」



「こんな……熱なんて出してご迷惑を……」



「迷惑なわけがあるかっ」



「刹鬼様……」




険しい表情の刹鬼様。



怒らせてしまったことにシュン……としてしまうと、刹鬼様は微笑んでわたくしの頬に手を添えられ撫でてくださる。



刹鬼様の手、冷たくて気持ちが良い……。




「お前は頑張りすぎだ、休め」



「はい」




刹鬼様の手に自分の手を添え、微笑んで頷くと刹鬼様がオデコにキスをして下さった。



オデコ……。

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