第35話

何故貴女がそんな顔をするの。



貴女をそんな風にした、わたくしを心配しているように見えますわよ。



おもわず苦笑い。



嫌い嫌いと思っていましたが……



いや、今も嫌いですけれど。



刹鬼様を狙う輩は皆敵ですわ。



けれど、このアンジェラという天使はどこか憎めない。





「さて、どうしましょうか。鬼達では、わたくしに手を出せないので、何人か天使の御方を呼んで頂いて」



「バカじゃないのっ!!」



「失礼な」




わたくしはバカではありませんわ。



刹鬼様の妻ですもの。



むしろ賢い……




「なら、断りなさいよ!!」



「それはなりません。わたくしの判断ミスで貴女には本当に怖い思いをさせてしまいました。その罰は受けなければ」



「敵よ!?」



「敵でもです」



「奥様、素晴らしいです」



「ありがとう、真鬼」




可愛い子。




「アンタ……怖くないの……?」




複雑な表情のアンジェラ。




「怖いですわ」




男達に囲まれて、抵抗も出来ず好きにされる。



それほど怖いことはない。




「奥様……」




ソッと真鬼が寄り添ってくれる。




「大丈夫。大丈夫よ、真鬼」




わたくしは折れた角に触れる。




「だからこそ、貴女の恐怖も怒りもわかるのです。それだけのことをわたくしはした。償わなければ」




まだクシャクシャの表情のままのアンジェラを見て微笑む。




「ほら、早く呼んでください。わたくしの気が変わってしまいますよ?」



「っっ」



「アンジェラ」



「呼んでやるっ、呼んでやるわよっ」



「アンジェラ!!」




男の天使がアンジェラの腕を掴んで、自分の方に向かす。




「汚れる気かっ」



「だって!!」



「大丈夫です、アンジェラは汚れません。これはわたくしが望」

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