GIFT ~光の神から精霊使いへの贈り物~

月杜円香

第1話  旅の終わりに

『我のを闇の神、ディハルドから解放してくれて礼を言うぞ。デュール谷の姫』


「でも、奥方様の命は助からなかったし、命を奪ったのは私の精霊よ」


 エリサは、困惑してしまった。銀の森の光の神の子孫でロイル家の奥方を探す旅に巻き込まれたのは、数ヵ月前だった。奥方の長男である若長わかおさのティランと旅をしていたはずなのに、気がついたら、モノホンの光の神と旅をしていたのだ。


 光の神は、全てが終わった時に言った。


『それでも、闇の手先となって、生きることよりだったはずだ』


 エリサは、納得がいかなかった。

 光の神の娘として生まれながら、闇の神に逆にその力を利用されてしまったのだ。

 自らの身体を養分にの花を大山脈の北の地方で咲かせていたとしても。

 他に方法は無かったのだろうかと思ってしまう。


『我にも出来ぬことはあると言った』


「でも……」


『これが、最善の策だったのだ。カタリナを悼む気持ちにも礼を言うぞ。優しい娘だな」


「本当にこれしか、奥方様を助ける方法はなかったの?」


 銀の髪、銀の瞳にほんのり銀色に光る身体を持つ神は、しっかりと頷いた。


『我と天界には、行かぬのだな』


「だって……父様、母様と離れたくないわ」


『そうか……では、礼としてそなたには、我の名前を教えておこう」


 エリサは、????


(どういう意味だろう……?)


『我の名前は、五つある。ルナシエ・イリアス・エル・ロイル……ここまでは、人間界に伝わってる名前だ』


「それで?」


 エリサには神の言わんとしてることか分からない。


『最後の名前は、グレシャスだ。覚えておくと良い』


 それだけ言うと、光の神は、北の地方で人々を苦しめていた闇の神とともに、天界へと帰って行った。


 エリサは、頭にはてなマークが回っていた。


(だから、何……?)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

GIFT ~光の神から精霊使いへの贈り物~ 月杜円香 @erisax

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ