日の丸弁当
@sonryu
白い海、赤い太陽
その人のお昼ご飯はいつも日の丸弁当だ。毎日必ず、弁当箱に敷き詰められたご飯と真ん中に置いてある梅が見える。物足りなくないのだろうか。
デスクでお昼を食べるのがこの会社の慣わしである。そのため、通りかかると日の丸弁当が見える。
その人は無口で、雑談をしているところを見たことがない。だからこの件について聞いてみたいところだが聞きにくいのである。
同じ会社なのによくわからない人。いや、みんな本当はよくわからない。会社で見える顔なんて一部なのだから。一部の情報を切り取られて構築されて出来上がる。本当のことはわからない。会社に限らず世の中本当はそんなもので溢れているのかも。仲が良いと思っていたら陰口を言われていたとか利用価値があったから付き合ってるとか。目に見えるものだけが本当ではないし、でも自分にとっての本当は目に見えるものでもある。
人生には余白が必要なのかもしれないな。見えない部分の想像。あらゆる可能性。でも、知らない方がいいこともある。何が正解かもわからない。いや、正解なんてないのだろう。
そんなことを考えていたら、今日のお昼休憩は終わっていた。
日の丸弁当 @sonryu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます