異世界は今日も穏やかです。たまに忙しいですが。

とねてつVer2

第1話 プロローグ

真っ暗な夜空には星一つ見えない。


そんな暗闇がずーっと続いている、もうかれこれ10年は。

でもそんな暗黒な世界も、いつかは晴れて明るくなることだろう。


しかし、いまは自分たちの生活こそが大事。


明るい世界はまだ夢の夢なのだろう。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


私の名はフェリーチェ、16歳の騎士です。

パーティでは前衛を任されていますが、なかなか大変なポジションですよね。

「フェリーチェ、今度の仕事は?」

この子は同い年の弓使い、ローザ。

弓の名手の家庭に生まれ育ち、幼少のころから親兄弟親戚に弓を教え込まれ、

その腕は、帝都随一と言われているのだけれど、本人はまるで関係ないって感じ。

「ねぇねぇフェリーチェ、美味しいパフェ知らない?すっごく食べたいんですけど!

 どこか無いかなぁ・・・」とにかく甘いものに目が無い子なんだけど。

でも可愛いから許しちゃうんですよね。


二人で賑わう街を歩くと、向こうからやって来たのは「よ!二人とも元気かい?」

「あ!アルベルトだ!しばらく!」アルベルトは私と同じ前衛で18歳。

パーティリーダーでもあって重騎士。その大鉈で魔物をあっさり真っ二つにする程の

パワーを持つ力自慢、長身で筋骨隆々、いかにも豪傑と言った感じなんだけど、

実際はホントに心優しい人でギルドの中でもその信用度が高く、ギルドマスターの

レオニードも「アルベルトはウチのギルドの宝だよ」と言う程なのです。


3人でギルド事務所へ行くと、大勢の冒険者たちで賑わっています。

その中のカフェにはいると、「来た来た!待ってたよ!」「こっちこっち!」

二人の若い子が呼んでいる。「フェリーチェにローザ、アルベルトも。元気そうね」

前回の依頼仕事が終わって、1カ月ほどギルド事務所にも来ていなかったので

その間は、師匠のジョナサンについて槍遣いを練習していたんですよね。


一人は魔法士のラインハルト、ウチのパーティでは一番若い15歳。

にしては、大人びた雰囲気をまとっており、年齢詐称疑惑さえあるの。

でも身分証をみると・・・「ああ確かに男15歳だ」となる訳で。

もう一人は回復魔術師のマルガレーテで私と同じ16歳。

ラインハルトと同じく年齢詐称疑惑があるんだけど・・・でも普段の話とかは

16歳相応なんですよね。ホント可愛くて、このギルド事務所の中では一番人気。

小柄な女の子なんだけど、この子の家系は何人もの優秀な魔術師を輩出していて

マルガレーテ自身もすばらしい手腕の持ち主、いつもピンチで助けられているの。


「じゃあ今度の仕事の内容はどんなんだい?」

ギルド事務所の受付嬢ナターリアが「これなんですが・・・」

「うーんこれ?うちらじゃなくても良いんじゃないか?」

「でも、どこのパーティも忙しくて、引き受けてくれないのです。

 報酬は結構高額なんですが経験値としては低いので。」

「じゃあ検討するよ」

「そうですか!是非よろしくお願いしますね」


「みんな、ここじゃなんだから、俺んちで打ち合わせしよう」


私たちのパーティ「レッドストーム」はこの街のギルドではS級ランクなんです。

S級パーティは「レッドストーム」だけなんですよ!すごいでしょ!

あとはA級パーティが5つ、B級が10、あとはすべてC級パーティなんです。



最近は魔物の出没が多くって、その都度いろんなパーティが出動していってるの。


魔物自体はそれほどではないけど、数が多くって手を焼いている。そんな感じです。


【マジックボア退治】

「これって、B級パーティでも余裕でしょ?なんでウチに?」

「手が足らないんだってさ。確かにパーティはどこも出払っているみたいだし

 俺たちもS級だからって、のうのうとはしてられないってことさ」

「そうか、じゃあしょうがないな。で、いつ行く?」

「事務所からは出来る限り早めって言われてる」

「で、その場所はどこ?」

「ここから馬車で1日くらいのカニンミラムって町の郊外だね」


とりあえず、私、ローザ、アルベルト、ラインハルト、マルガレーテの5人は

馬車を借りて、カニンミラムへ向かうことになりました。



第1話 完

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