新宿駅南口の路上販売

 乞食のサトウさん。

 彼がゴミ箱や、早朝の電車内に置き捨てられた週間漫画雑誌を収集。都心のド真ん中、賃料が高い新宿駅南口前のアスファルト上にて、其れらを路上販売して生活費を稼いで居る。

 

 サトウさんとは友地球人関係に在り、元々が貧乏性の性分の宇宙店主。早朝の電車の座席や、上部の網網の部分に乱雑に置かれて居た雑誌を収集。自身でも読まない雑誌が殆どの中、(何かに再利用出来ないか?)と考えて、偶々、雑誌を路上販売して居るのを見掛けたサトウさんに、声を掛けたのが付き合いの始まり。

 稀に上物の雑誌や週刊誌なんかをゴミ箱の中に発見したりすると、気分が最高にアガって、頭の中にサトウさんの顔面が浮かび上がる。

 偶に職場のコンビニエンスストアーで購入した弁当や御惣菜、酒なんかも差し入れたりもする。現金は絶対にあげない、関係が対等では無くなってしまうから。


「もし宜しければ、皆さんも書店で雑誌購入するのも結構ですが、この様な露天商の方々から、雑誌を購入する事をお薦め致します。其の些細な厚意が彼等の収入源へと直結しますので。」

 違法なのかも知れませんが、マァ良いでしょう。彼等の様な存在を生み出す、現在の行政が一番の悪なのだから。


 話の締めに入らせて頂くが、作家が一生懸命に描いた作品が収められた漫画雑誌や週刊誌が、一度読まれただけで捨てられてしまうお手軽感。

 哀しき現代作家達。

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