第6話 ミユキ、もういいんじゃないか?そろそろ仕事をしても。
「お早う、昨宇宙日は御免ね!」
あら?アンタ。
無事にチャンと帰って来れたのね。
この星の印象はどう?
何処までも同じ景色。
そうそう、そうなのよ。
食べ物が不味い?
アタリ、食べ物が不味いのよね。
私の職場の社員食堂もカナリ不味いんだけど、オモテの食べ物屋もお金を取って、確実に不味いモノを出すから、何時の間にか私の味覚が変化して、本当に不味いモノを美味しいと感じて、美味しいモノを不味いって思っちゃたら如何しよう?とか思うんだけど、考えてみたら、このお話はグルメものの類いじゃ無いから、別に如何だって良いのよね。
さっ、早く中に入ってよ。
アンタを待ってたのよ。
ここは従業員専用の裏口の玄関だから、皆んなの邪魔になっちゃうわ。
さあ、ココがさっきまで居た休憩室。今位が、丁度交代の宇宙時間になるから混雑してるでしょ?
アンタ、自分の惑星の皆んなに、この休憩室の大きさとかを説明しなくても良いの?
「ああ、そぅ、話せないのね。」
その白い丸いボールを、アタマから抜き取ったら死んじゃうのね?
何ての?ソレ?
「宇宙服のヘルメット、って云うの?」
フゥゥン..。ださ。
地球人だっけ?
随分と不便な生物ね。そんなゴツゴツした白い服や丸いボールを被ってないと、此処では生きて行かれないだなんて。
「じゃあ、何で来たの?遥か宇宙世界まで。惑星地球だけじゃ満足出来ないの?地球人民族って、文明がチト遅れてるけど、中々好戦的なのね。」
アッ!チョット待って。
良いのをあげちゃう!
ステッカーよ。
このステッカーは、私の宇宙船を何時も持って行く、冥王星近くの『ノブナガモータース』特製よ。
社長のノブナガさんは過去に地球人だったらしいわよ。
「チョットぉ、動かないで!この地球A四サイズのステッカーを、アンタの丸い頭のボールの、透明の中心の所にバッチリ貼ってあげるから、ちょっと黙ってて!」
ほら出来た。
カッコ良いじゃん。
え?視界が見えない?
私には見えるから問題じゃ無いわ。視界が無くなったのはアンタ、地球人の能力の問題でしょ?
この宇宙世界でも、未だに眼球で視界を捉える宇宙人民族って、多分地球人だけよ。
そうねェ..じゃあ私から、此処の休憩室の事を軽く紹介するわ。
「アナタ、名前は何ての?」
「ミチオ?分かった。」
この休憩室は大体、今私の目の前にいる地球人ミチオの大きさで例えるとぉ..
「九千京地球人ミチオ、ってとこね。」
そん位のミチオ君が、ぎゅうぎゅうに詰まった程の空間。
もし命の短い地球人が、この休憩室の壁から、反対側の壁まで歩いたら、ざっと四十万回程の地球人人生が送れる位かな?
因みに不味い社員食堂は、ココから入って直ぐ左のドア。
開けてみたい?
じゃあ開けてご覧。
「アッ、其の前に、ミチオ君が思う、今迄の地球人人生の中で、超絶に不味かった料理店の事をアタマに想像してみて?」
良い?
行くよ?
「ガチャ」
キャハッ!
驚いた?!
ビックリするよねぇ!だって開けたドアの向こう側が、ミチオ君が創造した地球の不ッ味い料理屋さんの店内だったんだもんネ!
ウケるでしょ?
これが宇宙よ。
「あっ駄目よミチオ君!ソコに入っちゃ!」
ソコはミチオ君の深層世界だから、もう二度とコッチに帰って来る事が出来ないわよ。
「キャハッ、では気を取り直してェ..でさ、私達の働くブースが、此処から反対側の壁に在るわ。けど遠くてチト見えないでしょ?私にも見えないもんッ!」
『四六四九番』
コレが私のブース番号。
ブース入り口のドアに、以前に惑星地球のディズニーランドに観光に行った時に私が買った、ミニーマウスの等身大の縫いぐるみが首を攣って吊らされて居るから直ぐに分かるわよ。
じゃあ、私は先に瞬間移動するから、ミチオ君はユックリと来たら良いわ。
「途中で野垂れ死にしないと良いけどね。」
如何やら、次回でイヨイヨ私の仕事振りを紹介出来る事が出来そうね。
「多分。」
ミユキ
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