第12話 今日の宇宙店主

 皆さん、どうも宇宙店主です。


 さて、皆さん。

 “惑星や星と云われる物体は、たった一つの大きな岩石の塊の様なモノで構成されて居る”

 其の様に、学校で阿呆な先生や教授から教わって居る..と、宇宙店主は勝手に推測します。

 ハイハイ、其の通りです。確かにそうですね、勝手に見事正解です!

 たった一つの種類の『星』を除いては..ですが。


 無限大の宇宙空間には、地球人の頭部の大きさ位の隕石が彼方此方、まばらに浮遊して居る光景が沢山見受けられます。

 地球人民族とは違って、宇宙の惑星や星には、“身分”の格差は存在して居ません。

 力(蚊や、カでは在りませんよ!チカラと発音するのですね!)や、権力を一切持たない隕石達は、共に協力し合い、お互いの体を寄せ合っては交尾、合体ガッチャンコ!一つの小さな星と成長して行くのです。

 そして其の行為を繰り返す事により、徐々に体躯が大きくなり、最終的には見事な惑星へと成長するのです。

 ですがコレは稀な恵まれた成功例でして、殆どの隕石達は、ほぼ半永久的に“無縁隕石仏”として、宇宙空間を無限に漂い続けます。



 この宇宙店主、常日地球頃より、「大体の宇宙人は永遠に死なない。」と吹聴して居ますよね?これは確かに事実です。

 然しコレだけの巨大な宇宙空間、其処には様々な宇宙民族が、其々の惑星、そして星にも散らばって棲息して居りますから、中には哀しいかな、地球人民族同様に、寿命が定められて居る宇宙人民族も存在して居る事も事実です。


 地球人は、いずれ亡くなると“真っ透明な意識”へと変化します。

 その逆に、地球人同様に寿命が定められて居る宇宙人民族は、元々の姿が“透明”である事の方が多く、亡くなってしまうと、生きて来た今迄の緊張の糸が切れてしまうのでしょう。完全に透明だった肉体が「ジワジワ..」と、宇宙空間に『意識』と化して姿を現し、そして完全に形を出し切った新たな『意識』は、ソコから宇宙空間を巡回する『宇宙風』に抵抗する事無く、体を委ね、それは「ユルリンコ..」穏やかに宇宙時間をジックリと掛けては、行く宛の無いままに流されて行きます。


 宇宙にも、『宇宙風』が全く吹く事の無い僻地が存在して居りまして、其方の方面に、如何しても彼等、『意識』は追い詰められて行きます。

 其れ等の沢山の『意識』が集まった場所、寄せ集めの『意識』の集団を、我々宇宙人民族は『宇宙墓場』と呼んで居ります。地球人民族で云う、“無縁仏のお墓が沢山建てられて居る土地”の事ですね。


 地球人の一つ一つの“魂”が独立して納められて居る、集合体の“墓地”と唯一違う点は、彼等の互いの『意識』が寄り添い合い、新しい一つの小さな“生命”こと、一個の“宇宙墓地”へと昇華、生まれ変わると云う事。各『宇宙墓場』は、日宇宙夜、地道に拡大しては、親で在る宇宙世界を「ジワリじわり」侵食して行ってるのですね。

 もしかしたら地球の皆さんが、深夜の夜空を見上げては、(宇宙ってロマンティックだよねェ..)と眺める宇宙は、もしかしたら宇宙空間の至る所に、大小点在して居る『宇宙墓場』の一つなのかも知れません。

 

 只今の宇宙店主、と或る一つの『宇宙墓場』にやって来ております。

 実はですね、大昔に亡くなった宇宙店主の幼少宇宙人期からの幼馴染で在り、且つ親友でも在った『意識』が、安らかに生きて居る『宇宙墓場』なのです。

 本宇宙日が、その親友の命宇宙日になり、彼の弔いの方を最優先致しまして、宇宙書店は臨時休業、地球より『瞬間移動』にて遥々やって来た次第です。

 

 どれどれ..今宇宙日も彼の冥福を祈る為に、御線香では無くて、ハッピーターンを燃やしてあげましょうね。

 一枚のハッピーターンを、「ヨッコイショ!」

 こうやって地面の上に立て掛けて、と..

 ハッピーターンの天辺に、マッチで火を灯しまして、と..

 

「合掌..」

 

 では。



 宇宙店主

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