海のイベント
第4話
「今日の空は真っ青だー!」
窓際で雲一つない空を見上げていると、外から涼しい風が入ってきた。
「気持ちい天気だなぁー…」と言っていると、霞天さんに呼ばれた。
「お嬢!居間に来てくださいませんか?」
「はーい!」
居間に入ると、
パンパーンッ!パーンッ!
「お嬢!お誕生日おめでとうございます!」
「海!誕生日、おめでとう!」
「皆!ありがとー!」
今日は私の誕生日です!
「海。早速だけど渡したい物があるんだ」
「何?おじさん」
「私からの誕生日プレゼントだ。⋯いや、私と
「⋯おじさんと、お母さんから?」
「ああ」
おじさんが私の前に、大きい箱と小さい箱を置いた。
「これは何?」
「開けてごらん」
私は2つの箱をゆっくりと丁寧に開けていった。
大きい箱の中には着物が入っていて、小さい箱の中にはネックレスなどの豪華なものが入っている。
「その箱に入っているのは全て、芽瑠の形見だ」
「お母さんの、形見?」
「そうだ。芽瑠は亡くなる前、私にこう言い残してたんだ。海が17歳になったら私の形見をあげてほしい、と」
「そうなんだ⋯」
「あともう1つ、渡すものがある」
おじさんがポケットから取り出したのは、少し色あせた手紙のようなものだった。
「これは、芽瑠から海への手紙だ」
「え?」
「いつでもいいから読んでくれ」
「う、うん」
「あ、そうだ。その着物、明日着ていくといい」
あ、明日はお見合いか⋯。
「分かりました」
その後、霞天さんたちや、宇宙たちから誕生日プレゼントをたくさん貰った。
誰かの誕生日にしか食べないケーキを大事に食べていると、携帯が鳴った。
あ、紅葉からだ。
『海!誕生日おめでとー!!』
「ありがとう、紅葉!」
『直接目の前で言えなくて残念だけど、また学校でね。良い1年にしてね!』
「うん!わざわざありがとう!嬉しい!」
『あははっ、よかった!それじゃあね』
「うん、また!」
携帯を切った後も、嬉しさで笑みがこぼれた。
誕生日パーティーが終了すると、自分の部屋に戻り、お母さんからの手紙を読むことにした。
海へ
17歳のお誕生日おめでとう。
私が結婚式で着た、着物やネックレスは受け取ってくれたかな?
どうか、その大切な着物を海に着てほしい。
いつか結婚する日に。
海の大切な日に。
お見合いをするなら、花宮組の
海。私は、海が好きになった人、ずっと一緒にいたいと思った人と結婚してほしいな。
そして、幸せそうな顔をしている海が見たい。
だから、結婚相手は自分で決めてね。
海ならきっと、良い人を見つけられると思う。
結婚式は天国から見てますからね。
海の花嫁姿、どんな感じなんだろう…。
きっと、とってもキレイなんだろうな…。
見たかったな。
海に直接、おめでとうって言いたかった。
キレイだねって言いたかった。
直接お祝いすることはできないけど、私は天国からお祝いしてるから。
それを忘れないでね。
・
・
・
17歳の海、絶対優しくて、キレイな子になってるんだろうな…。
海が成長していく姿を見たかった。
私、海を引き取ってよかったって思ってるよ。
海に出会えてよかった。
ここに来てくれてありがとう。
一緒にいた時間は短いけど、海といられて幸せだった。
楽しかった。
私のこと、お母さんって呼んでくれてありがとね。
本当のお母さんのように接してくれて嬉しかった。
本当にありがとう。
海には感謝しきれないほど感謝してる。
私ね、海の笑顔が1番大好きなの。
だから笑顔を忘れないでいてね。
・
・
・
最後に、
まず空と晴と宇宙は元気にしてる?
もう3人も大きくなってるんだよね。
海、これからも3人をよろしくね。
私は天国に行っても、ずっと海たちのことを見守ってるから。
これからもずっと大好きだよ、海。
またね。
お母さんより
手紙にはお母さんのキレイな字で丁寧に書かれてあった。
私の目には涙が溜まり、少しずつ零れ落ちてくる。
涙を拭っても次から次へと涙が出てくる。
「お母さん⋯」
すると、
ペラッ。
手紙の封筒から1枚の紙がヒラヒラと出てきた。
床に落ちた紙を拾い、裏返すと、そこには私とお母さんが楽しそうに笑い合っている場面が写し出されていた。
これ、6歳の誕生日の時のだ…。
「…お母さん……」
その写真を見て、また涙が次々と流れ落ちた。
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