第15話

知識を身に付ければ付けるほど、

世界の色合いが増えて、鮮明になってゆく。


単純な16色程度の世界がいつの間にか、

色の数を増やして、複雑に混ざりあって、

深く濃い色になる。


知らなくても良かったことまで知るようになり、色はかつての美しさを失ってゆく。

気づけば、もとあった色など忘れてしまっているのかもしれない。


皮肉な逆説である。


しかし、私たちは知ることを拒むことは出来ない。

神が、誰かの信じる神が、私たちをそう創ったのだろう。


何故だろうか。

私たちをくるしめたいのだろうか。


例えば、いつか銀河鉄道に乗るまでに、銀河の暗闇からいくつかの色合いを見つけられるようになれば、こんなに素晴らしいことは無いだろう。


ほんとうのさいわいを見つけるために、

色を得て、それにより失いながら、知らなくてはいけないのかもしれない。


それが、誰かが誰かに示した啓示なのかもしれない。

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