チュートリアルボス転生〜死にたくないので裏ボスの弟子になります〜
トラさん
プロローグ
「いよっしゃぁぁぁぁ!!!」
夜遅くにもかかわらずそんな歓喜の声を上げたのは他でもなく俺だった。
俺が叫ぶまでの達成感を手にしている原因、それはパソコンの画面に映るゲーム『聖剣戦争』だった。
『聖剣戦争』
日本だけでなく世界で大人気のゲームであり俺含め多くの人を魅了してやまない素晴らしいゲームだ。
このゲームは対戦ゲームではなく、ロールプレイングゲームである。
誰かに勝ったわけでもないのに俺はずっと興奮していた。
「やっぱりなんだやったってこのゲームは感動するな」
ものすごく興奮している俺だが、実のところこのゲームをクリアしたのは初めてではない。
なんならこのエンディング画面を何百回と見ていた。
なんでクリアしたのにそんなわけわからない数なってるの?
と、思う人もいるだろう。
その答えが、このゲームやり込み要素である。
このゲーム、ストーリーが感動もので素晴らしすぎるのだがその後、クリア後のやり込み要素がすごいのだ。
このゲームは最終ボスを倒すことが目的であるがその中に数々のサブストーリー、サブクエストさらには恋愛要素まで詰め込まれてある。
その量は圧倒的であり、全てクリアするのは非常に困難だ。
「……だがっ! 俺は、それを全てクリアしたのだ!!!」
ゲーム画面のステータスにある称号欄、その中で一際輝く「全てを制覇した者」という称号。
これがサブストーリー•クエスト、恋愛を全てクリアしたものだけが得られる俺しか持っていない称号だ。
このゲームの物語は王道だ。
舞台は剣と魔法の世界。
主人公とその仲間たちが学園で競い、高めあい、時には喧嘩をしながらも様々な困難に立ち向かう王道だ。
物語は平民であり、辺境の村に住む主人公の村が突如として魔物に襲われるところから始まる。
そこで主人公は秘められた力に目覚めるが大切な家族、友人を失ってしまう。
しかし世界では魔王が復活するとされていたため、酷なことに主人公は王国一の学園に通うこととなる。
そこで多くの仲間と出会い、競い高めあい楽しいことや苦しいことをたくさん経験しながら魔王に立ち向かっていくと言うものだ。
今でこそさまさまなジャンルが開拓されているが1番最初のものもやはりいいのだ。
勝手にそう納得して顔を上げるとゲーム画面にはスキル欄が表示されていた。
俺はその中に見たことないスキルを見つける。
「ん? なんだこれ、こんなの見たことないぞ?」
スキルというのはこのゲームにとって非常に重要なものだ。
スキルはステータスの一種であり、筋力値などと言ったものとは別路線のものだ。
スキルの例を上げると『剣術』がある。
これはそのままの意味で剣術のレベルを表している。
剣術のスキルのレベルが高ければ剣を使った攻撃にプラス補正がかかる。
レベルが高くなると専用の技を出せるようになったりするのだ。
そんなスキル、ゲームの攻略において非常に大切なのは間違いない。
スキルは大まかに固有スキルと通常スキルに分かれている。
固有スキルはそのキャラだけが持っているスキルだ。
他のキャラは絶対に持つことができない。
そのキャラ専用のスキルだ。
そのスキルはそのキャラだけが持つ特別なスキルであり、主人公の場合は剣を召喚したりできる。
もう一つの通常スキルは固有スキルの真逆であり、だれでも取得することができる。
さっきの『剣術』がこれに当たる。
プレイヤーはその中から主人公のスキルを変えたりしてストーリーを進めていくのだ。
そんなスキルは攻略に必要不可欠なのは当たり前。
なんなら恋愛のために特定のスキルを取得してレベルを上げることが必要な場合もある。
そしてこう言ったらなんだが俺は全部のストーリー、クエスト、恋愛をクリアした男だ。
このゲームに出てくるスキルは網羅している。
と言うかなんならこのゲームのことでわからないことはないと言えるくらいに詳しい。
「そんな俺が知らないスキルなんてあるのか?」
どこかで見落としてたりするのかな。
いやでもそんなことは……
俺はスキルがまとめてあるサイトに画面に現れたスキルの名前を入れて検索する。
「……出てこない」
何かアップデートが入ったのだろうか。
でもアップデートなら俺が絶対に気づくはずだ。
「なんなんだ、この『種族限界突破』っていうスキルは……」
ネットで調べてもこんなスキルは一切出てこない。
俺は不思議に思いつつ説明欄を見る。
『種族限界突破』
このスキルを所有するものは種族の限界を突破することができる。
たったこれだけ?
剣術の説明でももっと長いのに。
それに種族の限界を突破?
種族の限界ってなんだ?
主人公の種族を人間からエルフとかに変えられるってことか?
いやでもそんなことしたらストーリーが破綻しちまうしな。
「ふぁぁぁ……眠い……」
多分バグだろうし明日運営に連絡しとくか。
俺は深く考えずそう決めてベットに飛び込んだ。
そうして俺の意識は薄れていった。
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